大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3243号 判決

記録を調査するに、本件においては、被告人土田重良は片桐武夫、後藤佐吉の両名と共同被告人として起訴されたものであつて、原審において審理の途中弁論を分離したことはあつたが、昭和二十七年六月十九日の原審第十一回公判期日には、右三名の被告事件を併合のまま弁論を終結し、判決宣告期日を同年六月二十三日午前十時と指定告知したものであること、及び、右判決宣告期日(第十二回公判期日)には、被告人土田重良が出頭しないのに、他の出頭した被告人片桐武夫、同後藤佐吉の両名に対してのみ判決を宣告し、同年六月二十五日の原審第十三回公判期日には、右片桐武夫、後藤佐吉の両名が出頭しないで、出頭した被告人土田重良に対してのみ判決を宣告したものであることは、いずれも、所論のとおりである。而して、所論は、右第十二回及び第十三回の各公判期日(判決宣告期日)には、前記三名の被告人らが全部出頭しなくては公判を開廷することができないのにかかわらず、原審において前示の如くこれを開延したのは違法である旨主張するにより、案ずるに、原審第十二回公判調書には、同日不出頭の被告人土田重良に対する被告事件を分離する旨の決定を言い渡した旨が記載してないことは所論指摘のとおりであるが、しかし、該公判調書には、被告人の氏名欄に片桐武夫、土田重良、後藤佐吉の氏名を、出頭した被告人欄に片桐武夫、後藤佐吉の氏名をそれぞれ記載した上、裁判官が被告人片桐武夫、同後藤佐吉について判決を宣告し、不出頭の被告人土田重良に対し次回期日(判決宣告)を昭和二十七年六月二十五日午前十時と指定告知した旨の記載があるのであるから、右の記載自体からみても、前示六月二十三日の原審第十二回公判期日においては、そのへき頭において、当日不出頭の被告人土田重良に対する被告事件を分離する旨の決定がなされた上で、前示のような出頭した被告人両名に対する判決の宣告、及び、不出頭の被告人に対する次回期日の指定等をしたものであることが窺われるのであるから、右は、実際の公判手続としては、前示のような分離決定を言い渡したのであるが、ただ、公判調書の作成にあたり、不注意によつて、その記載を脱漏したものと認めるのが相当であるというべく、従つて、既に、右のような分離決定がなされた以上、当日の公判期日において、前示のように、出頭した被告人両名のみに対して判決を宣告したことも、又、当日不出頭の被告人土田重良に対して更に指定告知した同年六月二十五日午前十時の公判期日において、当日出頭した同被告人のみに対して判決を宣告したことも、いずれも適法であるといわなければならない。ただ、右のような分離決定をしたことは、刑事訴訟規則によつて、公判調書に記載しなければならない事項に属することが明らかであるから、その記載を脱漏した前示公判調書には、この点について瑕疵の存することは勿論であるが、しかし、この程度の瑕疵は、未だもつて、判決に影響を及ぼすものとは認められないから、原判決には、所論のような判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反があるものということはできない。論旨は理由がない。

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