大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3413号 判決

〔抄 録〕

論旨第一点について。

原判示犯罪事実即ち、被告人が原判示日時場所において、原判示のように「軍事問題の論文を発表するにあたつて」と題し、「アメリカ帝国主義者は日本国民を支配するのみならずアジアの諸民族を侵略し支配する野望を以て近代的な軍事科学によつて武装された軍隊と軍事基地を日毎に強め、新しい戦争を推進しているのであるから、我々は之に対抗する為武装をして行動する必要がある」旨の記事を掲載した小冊子「球根裁培法」第二巻第二十二号通巻第三十一号一部(原審昭和二十七年領第一〇五号の一)に、これは重要であるから全員に配布し、後日この論文につき具体的討論をしたいと思う旨を記載したメモ(同領号の二)を挿んで、これを廻覧に付した事実は、原判決挙示の証拠によつて優にこれを肯認することができ、記録を精査しても右事実認定に何らの過誤の存するのを発見できない。所論は要するに右事実は、一九四五年九月一〇日附連合国最高司令官の日本政府に対する言論及び新聞の自由に関する覚書第三項にいわゆる連合国に対する虚偽且破壊的批判を論議したことに該当しないと主張するのであるが、ここにいわゆる連合国に対する破壊的な批判とは、虚僞の事実に基くと否とを問わず、ひろく連合国全体又はその構成員たる一部の国に対する名譽、或は信用を毀損し又はその政策行動に支障妨害を与える可能性があり延いてその占領目的に有害な非建設的な言論の一切を指称するものであり、又右条項にいわゆる論議とは、単に必ずしも討論のみを意味するものではなく、口頭によると文書によるとを問わず一方的な主張も亦これに該当し、印刷物に表示されている思想を流布周知させる目的で当該印刷物を頒布したり囘覧したりすることも亦当然これに該当するものと解するのが相当である。今本件において右に述べたところに照らし原判示小冊子の記事はいわゆる連合国に対する破壊的な批判に該当し、被告人が原判示のようにこれに原判示メモを附して回覧したことは、いわゆる論議に該当することは洵に明らかであるから原判決が原判示認定事実を前記覚書第三項、昭和二十五年政令第三百二十五号占領目的阻害行為処罰令第一条第二条第一項に該当するものとして法律の適用をなしたのは洵に正当であつて原判決には何らの理由不備並事実誤認は存しない。所論は結局独自の見解に基いて原判決の正当な法令の解釈を攻撃するに帰しこれを採用するに由なく論旨は理由がない。

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