大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3518号 判決

刑法第四十二条第一項の「未タ官ニ発覚セサル前」とは、犯罪の事実が全く官に発覚しない場合だけでなく、犯罪の事実は発覚していて犯人のなんびとであるかが発覚していない場合をも包含するものと解すべきことは所論のとおりである。従つて原裁判所が「盗難被害届は犯行の日直に官に提出され、被告人が告知して出たのはその後十日位後のことであるので、右主張は採用することができない。」と判断したのは明らかに法の誤解であるといわなければならない。しかしながら、自首減軽をするかどうかは裁判所の裁量に一任されているのであるから、原裁判所の右の解釈の誤は必ずしも当然に被告人に対する処断刑に影響したものということはできず、換言すれば判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえないのであつて、しかも当裁判所が一件記録を精査検討したところによれば、本件において被告人に対し特に自首減軽を施す必要があるとは認められないから、結局この点は原判決破棄の理由とするに足りない。

また刑事訴訟法第二百四十五条第二百四十一条第二項によると、司法警察員は口頭による自首があつたときは調書を作ることになつており、本件記録にかかる調書が添附されていないことは所論のとおりであるが、たとえ自首調書の作成がなかつたとしても、裁判所は他の資料上自首の事実が認められるときは自首のあつたものとして取り扱うことができるのであつて、調書の有無に拘束されるわけではないから、捜査官憲が調書作成の義務を怠つたというだけでは、いまだ原判決を破棄する理由にはならない。

これを要するに論旨はいずれも理由がないことに帰する。

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