東京高等裁判所 昭和27年(う)3871号 判決
〔抄 録〕
第三点乃至第五点について。
本件酒類の製造又はその未遂の行為についてはその本犯たる朝鮮人氏名不詳者及び右同人の雇人にして氏名不詳の朝鮮人二名に対し適法な告発があつたことは、記録編綴の昭和二十五年八月十一日附三条税務署収税官吏大蔵事務官中村嘉徳名義の告発書によつて明白であるから、右告発は右酒類の製造又はその未遂に関与した共犯者に対してもその効力を生ずるものと云うべきである。(刑事訴訟法第二百三十八条第二項参照)従つて検察官が搜査の結果被告人を右酒類製造又はその未遂を幇助した共犯者と認めて公訴を提起したことは違法ではない。論旨第三点は理由がない。又三条税務署長が被告人に対し昭和二十五年八月十日附を以て、被告人が前記氏名不詳の朝鮮人よりその密造にかかる酒類を貰い受けた行為につき、酒税法第五十三条に違反するものとして通告処分をなしたことは一件記録に徴し明らかであるけれども、本件行為は右通告処分に表示された行為とは全然別個の行為と認められるのであるから、所論のように本件は同一の犯罪について重ねて刑事責任を問うものではない。論旨第五点は理由がない。又国税犯則取締法第十三条による告発については刑事訴訟法第二百三十八条は適用されないものと解すべきであるとの所論は独自の見解であつてこれを肯認すべき論拠に乏しいから論旨第四点も又採用することができない。
註 本件は量刑不当にて破棄。