東京高等裁判所 昭和27年(う)3971号 判決
〔抄 録〕
弁護人控訴趣意第二点について。
仍つて原判決を仔細に検討すると、原判決はその冒頭において「当裁判所は猪狩良彦出席の上審理を遂げ左の通り判決する」と記載していること、而して他の何れの部分にも検察官が出席の上審理を遂げた点の記載のないこと洵に所論のとおりである。然るに原審第一、二回公判調書記載によれば、検察官猪狩良彦出席の旨の記載があり、これによれば原判決記載の猪狩良彦なる者は検察官であることが充分に窺知することができる。果して然らば原審は検察官猪狩良彦出席の下に審理を遂げたものであることは疑いのないところであつて、原審には審理の過程においても毫も違法の廉はない。只原判決書には出席した検察官の氏名の記載は存するも、その官の記載を欠くを以つて、此の点厳格に謂えば、原判決は刑事訴訟規則第五六条第二項に違反する違法ありと謂わざるを得ないのであるが、該違法は未だに以つて判決に影響を及ぼすものと謂うことを得ず、論旨はその理由がない。