大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和27年(う)998号 判決

論旨は刑事訴訟法第二百八十二条第二項によれば公判廷は裁判官及び裁判所書記官が列席し且つ検察官が出席してこれを開くと規定しておるのであるが原審第十九回公判調書には該公判に列席した裁判官及び裁判所書記官補の官氏名の記載はあるが検察官の氏名が記載されてないから原審は検察官の出席なくして公判を開いたものと認むるの外なく従つて原審の訴訟手続には同法第三百七十七条第一号にいわゆる法律に従つて判決裁判所を構成しなかつた違法があると主張する。然しながら刑事訴訟法第三百七十七条第一号は判決裁判所の構成が法律に違反した場合の規定で例えば合議体で取扱うべき事件を一人の裁判官が審判したとか、一人で裁判することのできない判事補が一人で裁判したような場合をいうのであつて検察官が公判廷に出席しなかつたというようなことは公判開廷の手続上の違反ではあるが判決裁判所の構成には影響がないのである。而して原審第十九回公判調書によると該公判に列席した裁判官及び裁判所書記官補の官氏名の記載はあるが検察官の出席については、ただ検察官出席とのみあつて検察官の氏名の記載がないことは所論の通りであるが、公判調書に右の如く検察官出席の記載がある以上検察官何某が出席したかは不明なるも検察官が右公判に出席したことは認められるから検察官の出席なくして公判を開いたものと認むるの外なしとの所論は正当でない。然しながら公判調書には裁判官、裁判所書記官及び検察官の官氏名を記載しなければならないことは刑事訴訟規則第四十四条の規定するところであるから右公判調書に検察官が出席したとのみ記載してその氏名を記載しなかつたことは違法であるがかような訴訟手続上の違反は判決に影響を及ぼさないものと認めるのが相当であるから結局論旨は理由がない。

(註 本件は量刑不当により一部破棄自判)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!