大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)2177号 判決

事実並に証拠の関係は、原判決の事実に記載してあるとおりであるからこれを引用する。

三、理  由

浦和税務署長が訴外青磁屋、吉成製果株式会社に対する控訴人主張の滞納税金徴収のため、当時同会社所有の浦和市仲町五丁目七十番地所在木造スレート葺二階建店舗兼事務室一棟を昭和二十五年二月十三日差押え、同年六月八日その旨の登記を経た事実、控訴人が右建物をその主張の日時右会社から買受け、その旨の登記を経た事実、次で控訴人主張のとおり右建物が公売された事実、控訴人主張のとおり浦和税務署長が交付要求をした事実、公売による売得金が控訴人主張のとおり滞納税金の徴収に充てられた事実は孰れも当事者間に争がない。

控訴人は、被控訴人が右差押により右建物の売得金から弁済を受け得る金額は、差押税額及びこれに附随する利子税、延滞金及び延滞処分費の額以内に留まり、被控訴人の前記交付要求をした税金は右売得金から弁済を受け得ないものであると主張するが、その然らざる理由は以下に補足する外、原判決がその理由中(一)及び(二)に於て判示するとおりであるからこれを引用する。

即ち、国費の源泉である租税が国家財政上極めて重要な地位を占めている点にかんがみ、その収入の確保を期するために一般私法上の債権と異なつた特殊の取扱を受けることは考へられるところ、国税徴収法第二条、第四条の一、同法施行規則第二十九条を併せて通読するときは、国税の徴収については次のとおり定められている。

(一)  納税者が国税の滞納により滞納処分を受けたときは、既に納税義務の確定した国税は未だ納期の到来しないものでもすべて徴収することが出来る。従つてこの場合、収税官吏は滞納処分費及び滞納税金の交付要求をしなければならない。

(二)  国税の滞納により財産の差押をした場合には、当該財産の価格を限度として、その差押に係る国税及びその滞納処分費は他の国税及びその滞納処分費に優先して徴収するものとする。

そして、以上の定めから判断すると、国税の滞納により一旦財産の差押がされると、右差押物件はその差押に係る国税及び滞納処分費丈を担保するものではなくて、差押による公売処分完結迄の間に交付要求のあるべき当時確定していた他の国税及び滞納処分費をも担保するものであり、唯競合する国税及び滞納処分費の相互の間に於ては前掲のとおりに順位が定められているに過ぎない。

従つて、差押の後差押物件が第三者に譲渡されても、差押物件によつて担保される差押に係る国税及び滞納処分費は勿論、交付要求のあつた国税並に滞納処分費について、差押物件の公売による売得金から弁済を受け得るものと解する。

されば、控訴人の本訴請求は、以上の説示によりその理由がないこと明白であるから、当裁判所とその所見を一にした原判決は相当で本件控訴は理由がない。

よつて民事訴訟法第三百八十四条第一項、第九十五条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺葆 牛山要 野本泰)

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