大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)319号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事実と判斷)東京地方裁判所が被控訴人の申立により被控訴人控訴人間の採掘禁止仮処分申請事件について、「債務者(控訴人)は債権者(被控訴人)の鉱業権に属する福島県採掘権登録第二五一号石炭鉱区のうち通称補助坑区域(六千九百七十坪)から石炭を採掘してはならない。右趣旨を公示するため債権者の委任した福島地方裁判所執行吏は必要な処置をしなければならない」との仮処分決定をした。控訴人は特別の事情ありと主張して右仮処分の取消を求めたが、原審は右取消申立は失当であるとして却下した。特別事情の一として、本件仮処分取消により被控訴人の受けることのあるべき損害は、金銭補償が可能であると主張する。(その餘の特別事情の主張は省略)

控訴棄却。「……被控訴人の本件仮処分によつて保全さるべき請求権は損害賠償請求権であり、本件金銭的補償によつて満足すべき性質のものであるから、本件仮処分は保証を条件として取消すことができるように考えられないことはないけれども、右仮処分取消により被控訴人が今後受けるべき財産的損害はさらに増大すべきものであつて、原審における証人・・の証言及び控訴人本人尋問の結果によれば、本件鉱区の石炭埋藏量はまだ相当あるようであるが簡単に予測することはほとんど不可能に近いことが認められ、被控訴人において将さらにその損害賠償の請求を追加するとしても、その損害額を被控訴人の側から立証することはきわめて困難となり、その賠償請求の実効をおさめるのに困難をすものといわざるを得ない。しかも、控訴人は本件鉱区において石炭を採掘すべき権利は客観的にこれを有しないのみならず、被控訴人は控訴人に対し鉱業権者としてこれが差止を求め得べき権利を有し将これが請求を追加することもあり得るところである。従つて本件仮処分によつて保全さるべき請求権はすでに確定した金銭債権に過ぎないものと限定すべき理由はない。しかのみならず、本件仮処分を取消し漫然控訴人の採掘に放任するときは、被控訴人は鉱業権者として鉱業法規上負担する諸種の義務を履行し得ないこととなり、重大な結果を見るにいたることも保し難いことが予想されるのであつて、かかる場合に被控訴人のこうむるべき損害は、金銭の補償により満足せらるべくもないことはみやすい道理である。」

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