東京高等裁判所 昭和27年(ネ)422号 判決
一、控訴人は本訴において、別紙目録記載の土地に対し、被控訴人委員会が昭和二十二年十一月七日定めた農地買収計画の無効なることの確認を求め、当審においてその無効原因を補充し、(1)被控訴人委員会は昭和二十二年九月三日附の「買収計画延期に関する件」と表題をつけた書面をもつて、控訴人に対し買収計画の延期を通知しながら、被控訴人委員会の真意は買収計画の取消にあつたものであるから、その意思表示は錯誤によるものとして無効である また(2)一旦樹立した買収計画を延期・取消又は撤回したりすることは、控訴人をして自創法上与へられた権利の行使を誤らしめるものであるから、再計画など許さるべきでない。したがつて再計画として樹立せられた本件土地の買収計画は無効であると主張するので、先ずこの新しい主張について判断するに、
二、成立に争いのない甲第三号証と、原審証人稲葉三郎、原審並びに当審証人原宗作の各証言を綜合すれば、被控訴人委員会が昭和二十二年八月八日附で樹立した買収計画に対しては、控訴人の外多数の者から異議申立があつて、法定の期間内に審議して決定することは到底不可能な状況となつたので、一先ずその買収計画を取消し、次囘の定期買収計画樹立のときまでに再調査をして、更に買収計画を樹立することとして、控訴人の主張するように昭和二十二年九月二日附をもつて「買収計画延期に関する件」と表題を附した書面(甲第三号証)をもつて、その趣旨を控訴人に通知し、その後同年十一月七日附をもつて本件土地に対する第二次の買収計画を樹立した事実を認めることができるから、委員会は被控訴人の異議申立により、当初から第一次の買収計画を取消す趣旨をもつて、控訴人にその通知をしたものと解すべく、その通知に錯誤があつたものとする控訴人の主張は理由がない。控訴人の証拠によつては右認定を動かし得ない。
三、また買収計画を取消すこと自体、これをもつて自創法に違反するものとはいへないし、その取消によつて自創法上与へられた権利の行使を当然に誤らしめるものとも解せられないから、この点に関する控訴人の主張も是認し難いし、当審証人村山孝吉、原審並びに当審証人村山甚三郎の各証言中、控訴人の主張に符合する部分は採用しない。