大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)454号 判決

控訴人は、仮に本件土地にたいする優先賃借権を取得したものでないとすれば、第六次疎開命令前の右土地にたいする賃借権は右疎開命令によつては消滅しなかつたものであると主張し(予備的請求の原因一)、防空法には借地権についてなんらの規定もないから、行政処分によつて借地権をうばうことはできないはずだ、という。しかし防空法第五条ノ五及び六によつて、防空上空地を設ける必要上建物の除却を命ずる行政処分はその性質上建物除却そのことのほかに少くとも除却跡地を建物所有のために使用することを得ざらしめることを内容とするは当然であり、したがつて、その目的を達するために、即ち防空上必要なる措置として、除却建物敷地が借地である場合には、借地権を収用することは法律のゆるすところと解さなければならない(これによる借地権者の損失も防空法第十三条第二項によつて補償さるべき損失であることもちろんである)。しかして、原審本人尋問における控訴人の供述によつて昭和二〇年三月の東京都におけるいわゆる第六次疎開によつて除却された控訴人所有の建物は、木造トタン葺二階建店舗一棟建坪十八坪二階十坪であつて、これにたいする補償金は一万八千円であつたことが認められ、この事実と真正に成立した書面であること争のない甲第十三号証甲第十五号証の一ないし七の記載と、さらに当時の諸物価とをあわせ、さらに原審証人前田吉郎同相沢喜兵衛の各証言をあわせ考えると前記疎開実施にあたつて控訴人は建物除却及び敷地賃借権について補償をうけたものと認められ、したがつて借地を収用されたものであると認めるのが相当である。

(藤江 原宸 浅沼)

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