東京高等裁判所 昭和27年(ラ)45号 決定 1952年4月28日
抗告人 山田クニ、三津田幸江、今村一子
右三名代理人弁護士 名川保男
自一六一号至一六三号相続抛棄取消申立事件につき、同年二月十六日同裁判所支部の為した申立棄却の審判に対し、抗告の申立をしたので、当裁判所は左のとおり決定する。
主文
本件抗告を却下する。
理由
按ずるに相続抛棄の申述を却下する審判に対しては、家事審判法第十四条家事審判規則第百十五条第百十一条により、即時抗告の申立をすることができるが、これを受理した場合には同法及び同規則上申述者に不服の申立を許した規定はないのである。従つて一旦受理された相続抛棄の申述が無効なることを理由に家庭裁判所にこれが取消の審判を求める申立をすることは本来許されぬところであり、原裁判所がこれに対し原審判の如き実体上の判断を与えた申立を棄却したのも、畢竟右申立は家事審判法第七条の準用する非訟事件手続法第十九条第一項の職権発動を促す趣旨のものに過ぎないけれども一応事案の調査を為し、裁判所の見解を示すのが妥当であると認めたのによるものと解される。それ故更にかかる審判に対し抗告の申立を為し得ざることは明かであるから、本件抗告は却下すべきものとし主文のとおり決定する。