大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)1014号 判決

被告人 松田清次郎

〔抄 録〕

弁護人の論旨第一点について。

記録を調べてみるに、原判決が宣告されたのは、昭和二十八年一月二十六日であるのに、原判決書は、同年同月二十七日附になつていて、同日作成されたものと認められるから、右判決宣告の際には、未だ、原判決書が作成されていなかつたと認められることは所論のとおりである。而して、所論は、原判決のような単独裁判官による裁判の場合には、少くとも、判決宣告までに、判決書が作成されていなければならない旨を主張するのであるが、もとより判決は、その宣告するところと判決書に記載するところと異るようなことがないように、判決宣告の際に判決書の作成されていることが望ましいことではあるけれども、しかしながら、我が国の刑事訴訟法においては、判決書は判決宣告の際に必ずしも作成されていることを要しないと解すべきことは、かつて、大審院の判例(大正十三年(れ)第一、二三一号同年十一月二日第二刑事部判決)としていたところであり、最高裁判所においても亦、これと同一の見解を採つて、その判例(昭和二十五年(れ)第四五六号同年十一月十七日第二小法廷判決)とするところであつて、右はいずれも、旧刑事訴訟法に関する解釈ではあるが、この点については、現行刑事訴訟法・同刑事訴訟規則の解釈においても、右とその結論を異にすべき理由を発見することができないのであるから、前示のように、原審における判決宣告の際に、未だ、原判決書が作成されていなかつたとしても、所論のようにその手続が違法であるということはできない。論旨は理由がない。

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