大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)1082号 判決

被告人 山田公弘

〔抄 録〕

第二点について。

本件訴訟記録を調査するに、起訴状によれば、被告人に対する本件公訴事実についての訴因としては、被告人が原審相被告人天野広義等と共同して原審相被告人長坂正令から原判示教育委員候補者長坂敬一郎の為め投票並びに投票取り纏め方の依頼を受け、その報酬並びに選挙人に対する投票買収費として一票につき金百円の割合により百三十八票分合計金一万三千八百円の供与を受けた旨の事実が記載されているだけで、右供与の外に金員の交付を受けたという事実は明記されておらず、なお罰条としては公職選挙法第二百二十一条第一項第四号が掲げられているだけなのに原判決においては、右金一万三千八百円について、その供与並びに交付を受けた事実を認定し、これを公職選挙法第二百二十一条第一項第四号及び第五号の観念的競合罪として処断していることは論旨の指摘するとおりであるが、本件の金一万三千八百円が一票につき金百円の割合により合計百三十八票分の投票買収費であることは本件起訴状の明記するところであり、従つて、右金一万三千八百円は被告人及び原審相被告人天野広義等が前記候補者の為に投票してやることの報酬として一票につき金百円の割合で供与せらるべき投票報酬並びに右被告人等が右候補者の為に選挙人に対して投票方を依頼し、選挙人が右候補者の為に投票してくれることの報酬として一票につき金百円の割合で選挙人に交付すべき投票報酬の合算額であり、結局被告人等が供与を受けた部分と被告人等が選挙人に供与すべく交付を受けた部分とを含むものであることが本件起訴状の記載自体に照して明白であり、且つ論旨も肯認しているように検察官から罰条につき公職選挙法第二百二十一条第一項第五号が追加されている本件においては、原審が受供与罪の外に受交付罪を認めるに当つて特に訴因変更の手続をとらなかつたとしても、これによつて被告人の防禦方法に実質的な不利益をもたらす虞は少しもないから、原審が受交付罪を認定するに当つて特に訴因変更の手続をとらなかつたことを非難することは当らない。従つて、論旨は理由がない。

註 本件は量刑不当で破棄。

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