東京高等裁判所 昭和28年(う)1168号 判決
所論に基いて原審第三回公判調書をみるに、まず、同調書には公判調書として必ず記載すべき出廷裁判官および裁判所書記官の官氏名が記載されていないこと所論のとおりである。尤も、同調書冒頭上部の裁判官認印とある欄内には認印の押捺があり又同調書本文末尾の裁判所書記官補の記載下に高野正雄と署名し且つ職印の押捺はあるが、右冒頭の押印および末尾の署名押印が果して同公判期日に出廷した裁判官および裁判所書記官の押印又は署名押印したものなりや否やは判然しない。次に、同公判調書には「被告人の供述」として「別紙被告人供述調書のとおり」と記載あるが、記録を査閲するに、右記載に該当する被告人の供述調書と称するものは見当らない。ただ、記録第一八丁以下に「第四回公判調書(供述)」として編綴されているものが実質上右供述調書に該当するものの如くであるが、明確を欠く。而して原審は右第三回公判期日に審理の全部を行い且つ結審したのであり、従つて同調書に関する右両点の不備は、所論の如く、孰れも判決に影響あること明らかな訴訟手続上の違法といわねばならない。
故に原審は右いずれの点からみるも破棄を免れない。
論旨は共に理由がある。