大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)1260号 判決

被告人 上野世紀

〔抄 録〕

論旨第一点について。

原判決が犯罪の場所として東京都練馬区仲町三丁目九番地先の畑中の路上と判示しておるに拘らず、記録を精査するも右の場所が「三丁目九番地先」であることを確認し得る証拠がないことは所論のとおりであるが、原判決挙示の証拠を綜合すれば原判示犯罪の場所は東京都練馬区仲町の畑の中の道路上であることが認められる。惟うに犯罪の場所は刑罰法令において特に犯罪構成要件としておる場合の外、一般の場合においては罪となるべき事実ではなく、具体的な犯罪事実の同一性を認識するための標準となるに過ぎないものであるから、これを判決に判示するに当つては裁判管轄その他場所に関する法令適用の当否を判定するに必要な限度で当該犯罪事実の同一性を認識し得る程度に判示すれば足るものと解すべきである。原判決挙示の証拠によればNが昭和二十七年三月十四日午後十一時三十分頃普通乗用自動車に客を乗せ、東京都練馬区仲町の畑の中の道路上に差蒐つた際、停車を命ぜられ、客より細紐で首をしめられ更に匕首のようなものを突きつけられ、現金五百円位を取られたという被害事実を認めることができ、Nが、その他にその頃その附近で、更に本件とは別個の被害を受けたという事実が認められない限り(而して記録に徴するもかかる事実は認められない。)本件犯罪の場所としては東京都練馬区仲町の畑中の路上と判示しても、犯罪事実の同一性を認識する上においても、裁判管轄又は法令適用の当否を判定する上においても何等支障がないのである。従つて原判決が証拠に照らして犯罪の場所を東京都練馬区仲町の畑中の路上と判示すれば足るべきであつたのに、特にこれを同町三丁目九番地先の畑中の路上と判示しながら右「三丁目九番地先」であることについて的確な証拠がないからといつて、これを以て判決に影響を及ぼすべき事実の誤認があるものとして原判決を破棄する程度の瑕疵ありとする論旨は理由がない。

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