大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)1693号 判決

被告人 雄山喜一郎

〔抄 録〕

弁護人の論旨第一点前段第二点について。

犯罪の日時は特定の場合を除く外、罪となるべき事実ではなくただ起訴状に記載された訴因を明示するために罪となるべき事実を特定する手段方法として犯罪の場所、方法と同様に、できる限りこれが記載を要求されているにすぎないのであるから、たまたま、起訴状に犯罪の日時に多少の正確を欠いたからといつて、これがために起訴の効力に影響を及ぼすということはできない。而して本件起訴状(昭和二十八年四月十六日附の追起訴状)によると、公訴事実として「被告人は昭和二十七年五月中旬頃より昭和二十八年二月六日頃までの間前後二十七回に亘り別紙犯罪一覧表記載の日時場所に於て長崎栄外二十二名所有の財物を窃取したものである」と記載し、別紙犯罪一覧表中所論(9)の犯罪日時欄にはその犯罪の日時の記載を欠いていること所論のとおりであるが起訴状冒頭に昭和二十七年五月中旬頃より昭和二十八年二月六日頃までの間において、と包括的ではあるが一応の日時の記載はあり、しかも、被害場所、被害者氏名手段、被害品名、数量、時価等逐一記載してありて、罪となるべき事実を具体的に明示していることが認められる。所論(9)の犯罪の場所は新宿区角筈一の八二〇先路上であり、所論(2)の犯罪の場所は新宿区角筈一の八一四先二幸横で犯罪場所を異にしているのであるから、たとい、被害者、被害品名、数量において同一であるとしても両者は相異なる別個の犯罪であること該起訴状の記載自体に徴して明らかである。それ故本件公訴提起を無効と速断することのできないこと勿論であり、従つて原判決が罪となるべき事実の判示として右起訴状記載の公訴事実を引用したからといつて罪となるべき事実の判示として欠くるところなく、もとより判決に理由を附せない違法ありということはできない。論旨はいずれも理由がない。

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