大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)2137号 判決

被告人 佐瀬国雄 堀栄治

〔抄 録〕

一、弁護人甲論旨第一点の(ロ)、原審第一二回(昭和二八年二月六日附)公判調書の記載によれば原審証人ジエムスC・モアー・同ケラルド・D・リュゥクの両名が証言を拒否していることは明瞭である。(所論は同証人ロバート・L・パッジャーも証言を拒否した旨主張しているが、同人は証言を拒否してはいないのである。従つて同人の米国O・S・Iによる聴取調書(訳文附)は刑事訴訟法第三二八条によつて同法第三二一条第一項の書面として取り調べられているものではない。)

よつて検察官は右両名の米国O・S・Iによる聴取調書(訳文附)を同法第三二一条第一項第三号の書面として取調を請求したのである。

所論は同法第三二一条第一項第二号の検察官の面前における書面として取調請求をした旨主張するがこれは右公判調書を誤読したものである。

而して第一三回(昭和二八年三月六日附)公判期日に右書面は申請通りの書面として証拠調が為されているのである。

ところで証人が公判廷において証言を拒絶した場合にはその者が公判期日に供述することができない場合に該当するのであり、米国のO・S・Iにおける聴取調書であつても同法第三二一条第一項第三号に該当する書面であることは何等疑いないところであるよつて同号その他所定の要件を具備するときは証拠能力を有するものと解せざるを得ないのであるが、右両名の供述は被告人等の犯罪事実の存否の証明に欠くことのできないものであることは明白であり、且つ米国軍人が米国の捜査機関に対し供述するのでありその調書の記載・内容・態裁から考えても特に信用するに足る状況の下に作成されたものと認められるので、右両名の各米国O・S・Iにおける聴取調書及びその訳文を証拠に採用したことは何等訴訟手続が法令に違反するものではない。

二、弁護人乙論旨第三点の一

被告人堀栄治に対する本件起訴状記載の訴因は判示日時頃判示場所において単独で判示米国軍票を各所持したというのであるのに原審は訴因変更の手続を経ることなく原判示のように被告人佐瀬国雄と共謀の上これを所持していたものと認定したものであることは所論のとおりである。

しかし今被告人佐瀬国雄に対する本件起訴状を調査するに同人に対しても被告人堀栄治と同じ判示日時頃判示場所において判示米国軍票を所持していた旨の部分が存するのである。

即ち二名の者に対し各別ではあるが同じ場所で、同じ物を所持していたという起訴事実なのである。その上にこの両名は共同被告人として共同被告人として共同審理をうけているのであるから、二者の右所持は各別個の所持ではなく二名同一体の所持即ち共謀の所持と認められるときは二者共謀の所持と認定するについては訴因変更の手続を経なくても何等被告人の防禦権に実質的不利益を加えるものとは認められない。

従つてこのような場合には訴因変更の手続を経なくても単独の犯行であるという訴因に対し共謀の犯行と認定することのできるもの解するのを相当とする。原審訴訟手続には所論のような違法は認められない。論旨は理由がない。

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