大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)2343号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判旨〕原判決が被告人の判示収賄の事実認定に引用した証拠によると、原審相被告人Aは被告人が予て住宅に困窮していることを知り、被告人が探し当てた都内X所在の敷地附住宅に被告人を居住させる目的でその所有者と交渉して買受代金を三十四万円と約定した後、多年甲会社に出入し取引関係ある業者で被告人とは何ら直接の関係がなく被告人に恩恵を施す必要のない乙に、被告人を居住させる目的で右家屋の買取方を要請し、同人をして最初から被告人の居住家屋にすることを承知の上買い取ることを承諾させ、その買受代金三十四万円は一時甲会社の資金を以てAが立替払をして被告人を二五・六・九から居住させ、賃料を徴収しないことについてもAが別途に乙の承諾を得たので、被告人は同日以降二六・一〇末迄無償で右家屋に居住していたものであり、その間二五・八・五乙の長男丙名義で右家屋の取得登記があり、右家屋買受代金は二六・六頃乙から甲会社に返済されているのであつて、乙が右のように家屋の買取竝に被告人の無償居住を承諾したのは、乙が多年甲会社に恩顧を受けて来ている関係があることによるもので、被告人との何らかの関係で被告人に恩恵を与える必要があるためでないことを認めることができる。すなわちAは被告人に右家屋無償居住の利益を与えようという意思の下に、乙と甲会社との特殊の関係を利用し、同人が何ら恩恵を施す要のない被告人に右家屋に無償居住させることを承諾させ、現実に無償居住の利益を与えたものであるから、Aは乙から右家屋の無償居住の利益を供与してもらつてこれを被告人に供与したものと認めることができるのである。従つてAは単に所論のように乙が被告人に右家屋無償居住の利益を与えるについて紹介又は周旋したに過ぎないものとは認められないのであり、しかもAが被告人に供与した右家屋無償居住の利益は収賄罪の容体となり得ることもちろんであるから、原判決が被告人の判示事実を収賄罪に問擬していることは法律の解釈を誤つたものではない。

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