大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)2357号 判決

被告人 安森金雄

〔抄 録〕

同第一点第二。

本件市街地建築物法違反の事実は県知事の許可がなければ市街地住居地域の指定をうけた区域内においては一馬力以上の原動機を据えつけて一定の作業を為すことはできないのにこれを為したというのであるから、この作業を開始した瞬間から犯罪は既遂状態に達するのである。しかしこの作業が継続されている限り犯罪行為は継続するものと解すべきであるから、犯罪行為の終了はその作業を完全に止めた時であると認めるべきものであつて、本件違反行為は所謂継続犯と解するのを相当とする。而して原判決は昭和二五年八月初旬頃から建物を下駄製造工場の用に供した旨判示し、その犯罪実行々為の始期は明示しているがその終期を明示していないことは所論のとおりである。

ところでこの種継続犯の判示事実としてその終期が特に明示されていなくても、判示全体からこれを認めうるならば判決の理由として何等不備はないものと認めるべきものであるが、今原判決についてこれを見れば、その法令適用の項には、建築基準法附則第六項によつて市街地建築物法のみを適用しているので建築基準法が施行されて市街地建築物法が廃止された昭和二五年一一月二三日まで犯罪行為は継続されたものと認めたもののようであるのに、その証拠としては昭和二七年九月一五日附の静岡県建築課長恒岡俊行名義の告発書及び同県知事の同年七月一七日附違反建築物行政処分命令書を引用しているところから見れば、右市街地建築物法が廃止された後までも犯罪行為は継続されたものと認めたものの如くでもあり、要するに原判決には理由のくいちがいが存在し、この点の論旨は理由があり、原判決は破棄すべきものとする。

註 原判決の認定した犯罪事実及び法令の適用は、

被告人は法定の除外理由がないのに昭和二十五年六月下旬頃市街地住居地域の指定を受けた肩書居住地に在る自己所有の既設建築物を改造して建坪三十三坪の工場とし七・五馬力の原動機を据付け同年八月初旬頃から右工場を下駄製造の用途に供したものである。

適条

市街地建築物法第二条第一項・第六条・第十九条 建築基準法附則第六項

同法施行令第一条第一項第十号 刑法第十八条

同法施行細則第七条第一項第一号

よつて刑事訴訟法第百八十一条に則り訴訟費用の負担を定め主文のように判決する。

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