東京高等裁判所 昭和28年(う)2694号 判決
被告人 平野利一
〔抄 録〕
弁護人の控訴趣意第一点について。
原審第五回公判調書における弁護人の意見(いわゆる弁論)の内容の記載がきわめて簡単であつて、単に「寛大な裁判ありたい」としか記載されていないことは所論のとおりである。しかし、この程度の記載でも、弁護人が被告人の無罪を主張したかあるいはその有罪なることを認めて刑の量定(執行猶予の点を含む。)につき被告人に有利な主張をしたかというような区別は明らかに認められるのであるから、刑事訴訟規則第四十四条第一項第二十七号にいう「意見の要旨」を記載しなかつたものということはできない。けだし、右の意見陳述は、その内容がどのようなものであるかによつて別段法律上の効果を異にするものではないから、必ずしも公判調書の上にその詳細にわたつて止めておく必要のあるものではなく、従つて前記規則が所論のような程度の記載まで要求しているとは解せられないからである。論旨は理由がない。