大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和28年(う)2720号 判決

被告人 徐鳳奎

〔抄 録〕

論旨第一点について。

ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律(昭和二十七年四月二十八日法律第百二十六号)第一条により改正された出入国管理令(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第二号によれば同令にいわゆる外国人の定義を掲げ外国人とは日本の国籍を有しない者をいうと規定し同令第三条は外国人は、有効な旅券又は乗務手帳を所持しなければ本邦に入つてはならないと規定し他に同令第三条の外国人について特にこれを限定すべき趣旨を発見することができない従つて所論のように同令第三条の外国人については朝鮮人であつて、曾つて日本に適法に居住していた者で戦争目的遂行の手段として軍需省の命令によつて強制的に渡満させられ本来日本に帰つて来らるべき筈の者で敗戦のためその手続を採れなかつたため入国が許されなくなつたが将来日本に帰化しようとする意思をもつている者についてはその適用を除外する趣旨であるとは到底解されないところである。尤も同法第二条によれば昭和二十七年四月二十八日日本国との平和条約の最初の効力発生の日において現に日本に在留する外国人について種々の経過規定を設けており、その第六項(所論の出入国管理令附則第二条第六号とあるはこれに当るものと思われる)において所論のような例外的な経過措置を講じているのであるけれども、その適用を受けるのは前記日時において現に日本に在留している外国人に限るものであつて前に述べたような関係にある者にまで拡張して解釈すべき規定でないことも亦洵に明瞭である。従つて同令第三条の解釈としては原判決が「被告人が日本人でない以上その本邦への入国には右第三条の要件をみたす場合以外は同令違反の罪を構成するものと認むべきである」と判示しているとおりであつて当裁判所も亦これと同意見である。而して原判示事実は原判決挙示の証拠によつてこれを肯認するに十分であつて、原判決が右事実に対し原判示法条をもつて問擬したことは洵に正当であつて所論にいわゆる罪とならない事実に罰条を適用したか又は法令の適用を誤つた違法があるものとは到底認められない。所論は結局独自の見解に立脚して原判決の正当な法令の適用を攻撃するに帰し論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!