東京高等裁判所 昭和28年(う)2798号 判決
(1) 昭和二七年七月一三日附ドナルド・T・ハスイケ作成の陳述書については、およそ被告人以外の者が作成した供述書は、同人の供述を録取した書面とは異り、供述者の自作なる点に信用を措き、作成者(供述者)の署名や押印のない場合にも、法定の要件を具備する場合には之を以て犯罪事実を認める証拠能力ありと解するを相当とする。而して、右ハスイケの陳述書は、同人の署名も押印もないこと所論のとおりであるが、供述者たる同人の作成にかかり而も同人は既に原審第一回の公判期日前たる昭和二四年九月一九日米国に帰国したため原審公判期日に証人として出頭供述することができない情況にあつたことその他同供述書の証拠能力性上の諸条件に何ら欠けるところないことは記録上明白である。故に、原審が刑事訴訟法第三二一条第一項第三号によつて同供述書の証拠能力を認め原判決において同供述書を引用して犯罪事実認定の証拠に供したのは正当であつて、この点について原判決に所論のような違法あるものではない。