東京高等裁判所 昭和28年(う)3131号 判決
被告人 池原誠
〔抄 録〕
右検察官の控訴の趣意第一点について。
論旨は、原判決には法律適用の誤があり、この誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない、というのである。そこで原判決を査閲すると、原判決は判示第一の傷害の点につき刑法第二百四条、同第二の遺失物横領の点につき同法第二百五十四条を各適用し、いずれもその所定刑中罰金刑を選択し、以上二罪を併合罪の関係ありとし、同法第四十五条、第四十八条第二項、罰金等臨時措置法第二条、第三条を適用して被告人を罰金六百円に処したこと、及び右罰金等臨時措置法第二条によれば罰金は刑法第十五条の規定にかかわらず千円以上とし、これを減軽する場合には千円以下に提げることができるものとし、罰金等臨時措置法第三条によれば刑法所定の罪につき定めた罰金についてはそれぞれその多額の五十倍に相当する額をもつてその多額とする旨規定されているのであるから、何らかの減軽事由を認めて、法律上の減軽もしくは酌量減軽をしない以上罰金は千円を下ることができないこと、したがつて本件の場合は、刑法第二百四条、第二百五十四条及び同法第四十五条前段、第四十八条第二項を適用し、罰金千円以上三万円以下において処断しなければならないことはまことに所論のとおりである。
されば原判決が何らの減軽をもしないで、被告人を罰金六百円に処したのはまさに法律の適用を誤つたものというべく、この誤は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決は爾余の論旨につき判断をなすまでもなく、すでにこの点において破棄を免れない。論旨は理由がある。
註 本件は破棄自判して罰金一万円に処している。