大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)3949号 判決

被告人 小山茂雄

〔抄 録〕

原判決の認定した各犯罪事実は論旨摘録のとおりであつて、原判決挙示の各関係証拠をはじめ、原審における審理の結果及び当審における事実の取調の結果に徴すると、右両個の罪となるべき事実関係は所論のとおり同一の範疇に属するものと認められ、両者を区別すべき事由を発見し得ないのである。即ち、原判示第一の事実は牛等家畜の売買、交換又はその斡旋等を業とする被告人が原判示清水光吉から和牛牡二頭の売却方依頼され、内一頭を他に売却して受領保管中の代金三万二千円を着服横領したものであり、原判示第二の事実は同じく被告人が原判示群馬畜産振興株式会社常務取締役征矢野茂雄から牛の交換方依頼され、同会社所有の和牛一頭を預り交換先を物色したが失敗し、更に右征矢野の承諾の下に該和牛一頭を他に売却して受領保管中の代金三万五千二百円を着服横領したというのであるから、前者も後者も共に被告人の業務上保管に係る金員の横領である点においてその軌を一にするものである。従つて原判示第一の事実を業務上横領と判定する以上は、原判示第二の事実もこれと同一に律すべきに拘らず、原裁判所が審理の過程において訴因罰条の変更を命ずることなく、漫然追起訴状記載の公訴事実並にその罰条のままに後者を単純横領と認定所断したのは、判決理由にくいちがいがあるものと言わなければならない。尤も所論は後者を単純横領と認定する以上、前者も同様に判定すべきものと主張するのであるが、原判決に理由のくいちがいがあるとする点において論旨は結局理由あるに帰し、原判決は到底破棄せざるを得ない。

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