東京高等裁判所 昭和28年(う)564号 判決
被告人 内藤義男
〔抄 録〕
弁護人論旨第二点について。
しかし被告人の所為は昭和二十五年九月中から同二十七年七月中に至る長期間に亘るのに拘わらずその犯行の回数は百回余りに過ぎず、その間の各個の犯行と犯行とは必ずしも近接してるものとは認められないし、また各個の犯行の態様もまた必ずしも同一であるとはいい得ないし、また被告人は本件各金員を自己の保管に帰するに従い随時自己の必要に応じてほしいままに着服横領したものであること明らかであり、被告人が当初から単一の犯意をもつて着服横領しようとする包括的犯意の存した事跡の如きは到底これを認めることはできない。従つて原審が被告人の原判示の各所為をもつてそれぞれ独立した一個の犯罪と認めこれらの各所為は併合罪の関係にあるものとなしていることは相当である。それゆえ論旨は理由がない。
註 本件破棄理由は量刑不当。なお本件事実は郵便局長であり預金関係窓口事務従事者である被告人が約二年間前後数十回(此の間郵便局の所在地は異動している)数十名の預金者から現金を受取り保管中その一部宛をさいてその都度着服横領したというのである。