大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)600号 判決

被告人 石川徳次郎

〔抄 録〕

次に職権をもつて調査するに、原判決は適用法令として刑法第五十六条、第五十七条を挙げながら、累犯加重の原因となるべき前科の事実については、「尚被告人は前科四犯あり、累犯加重の原因となる前科一犯がある。(指紋対照々会回答書の記載引用)」と判示しただけで、如何なる前科が累犯加重の原因となるかを明示していない。もつとも右引用にかかる指紋対照々会回答書の記載によれば、被告人が昭和二十六年八月六日、東京地方裁判所において、窃盗未遂罪により、懲役六月(未決勾留日数中十五日を右本刑に算入する。)に処せられ、その頃右刑の執行を受け終つたことが明らかであるが、累犯加重の原因となるべき前科の事実については判文上具体的にこれを明示することを要し、他の文書に記載された事実を引用することは許されないものと解すべきであつて、結局原判決には理由不備の違法があるといわざるを得ないから、原判決はこの点において破棄を免れない。

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