大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)949号 判決

被告人 大山庫之助及び李相根

〔抄 録〕

弁護人論旨第二点について。

論旨は原判示窃盗の事実は既遂でなく未遂であると主張するが、原判決挙示の証拠、殊に証人Aに対する原審公判廷における供述によれば、被害者Aは泥酔して未知の男(被告人甲)に背負われて判示場所に行く途中、おぼろげではあるが、靴を脱がされたような気がし、又腕時計を外されたことに気が附いたので、介抱に事よせて、物を取る泥棒と思い、背中から降りて、同被告人を詰問したところ、同被告人は靴はあつちにあると教え、被害者Aは右指示に従い、そこから十米位離れた所で自分の靴を発見して、これを取戻したこと、又腕時計は被害者の追究に拘らず知らぬと拒み、其の後巡査が来合わせて巡査立会の上で(被告人甲、被害者A及巡査)で現場に戻り、被告人甲が此の辺だと指示した所から時計も発見せられたことを認めることができる。してみれば、これ等靴、時計は既に所有者Aの実力支配の域を脱し、被告人等の実力支配下に置かれ、同人等が、これを排他的に自由処分し得べき状態に置いたものと言わざるを得ない。原判決がこれを窃盗既遂に問擬したことは洵に正当であつて、所論は容認できない。

註 原判決の認定した窃盗の事実は「第一の(二)同月二十三日、同都足立区曙町八番地先京成電鉄ガード下附近道路上において、関根三郎より同人所有の革靴一足及び腕時計一個(時価合計約六千八百円相当)を窃取し、」というのである。

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