大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)648号 判決

控訴代理人は、原判決を取消す、被控訴人らにたいし、別紙目録記載の土地にたいする昭和二五年七月二日附自作農創設特別措置法第三条の規定にもとずく買収の無効なることを確認する、被控訴人国は右土地にたいする昭和二六年九月七日宇都宮地方法務局矢板出張所受付第一五八八号の所有権取得登記の抹消手続をなすべし、被控訴人荒井フミ及び被控訴人国は右土地にたいする昭和二六年九月七日宇都宮地方法務局矢板出張所受付第一五九五号の所有権取得登記の抹消手続をなすべし、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とするとの判決を求め被控訴人国指定代理人及び被控訴人荒井フミはいずれも控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張証拠の提出、援用及び認否は、控訴代理人において、別紙「控訴人の主張」のとおり述べたほかはすべて原判決事実らんに記載のとおりであるからここにこれを引用する。

三、理  由

当裁判所はつぎのとおり附加するほか、控訴人の請求は理由なく、これを棄却すべきものと判断することは原判決理由の説明と同一であるからここにこれを引用する。

一、旧農地調整法第四条第五項の規定によれば、都道府県知事の許可を受けないでした農地の所有権移転はその効力を生じないことは明らかであり、また不動産登記には公信力がないのであるから無効の移転行為にもとずいて不動産取得登記を経てもかかる登記はもとより無効であつて実体上無効な不動産移転の行為になんらの効果をもたらすものではない。したがつて当事者が任意この登記を抹消するか、この登記の抹消を命ずる確定判決を得なければ訴外斎藤ツネを所有者として本件土地の買収をすることはできないという控訴人の主張は採るに足りない。

二、右のように控訴人の本件土地にたいする所有権の取得及びこれにもとずく登記手続は無効であり、控訴人は本件土地につきなんらの権利を有しないものであるから、控訴人は被控訴人国が被控訴人荒井フミにたいしなした本件土地の売渡並びにこれにもとずく所有権移転登記手続の適否を主張するなんらの利益を有しない。したがつて被控訴人国のなした右登記手続が不当であるという控訴人の主張はこの点においてすでに失当である。なおまた自作農創設特別措置登記令第五条第一項にいう「買収の当時当該権利を有した者」とは必ずしも控訴人のいうように確定判決、相続等により当該権利を有した者であることが確定されることを要せず、市町村農地委員会がその者を当該権利を有するものと判断し、買収手続をしたものをいうのであり、この場合登記名義人は真実の権利者でなく、当該権利者は別異の者であることを判決をもつて確定することを要するものではない。よつて控訴人の主張は失当である。

以上のとおりであるから本件控訴はこれを棄却するものとし、民事訴訟法第三八四条第九五条第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 藤江忠二郎 原宸 浅沼武)

(目録省略)

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