大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)2762号 判決

被告人 杵淵豊

〔抄 録〕

論旨第二点について。

いやしくも他人の財物を不法に領得する意思が認められる以上、たとえ、窃取した物件中に犯人の窃取を期待していなかつた物件が混つていたり、或はその物件の種類数量等について逐一詳細にこれを認識していなかつたりして、犯人においてこの点について錯誤があつたとしても、当該窃取物件全部について犯罪成立の故意を阻却するものとは到底解されない。今本件においては前段で認定したように被告人は拳銃を窃取せんとする故意をもつてこれを不法に領得したところ、偶々拳銃中には実砲六発が含まれていたというのであるから、右に述べた意味において右実砲を含めた全部につき窃盗罪の成立を認めるのに些かも誤りはないものと解しなければならない。従つて原判決が判示拳銃及び実砲六発の窃盗の成立を認めたのは極めて正当であつて所論のような事実誤認乃至審理不尽の違法は毫も存しないから論旨は理由がない。

註 本件破棄は量刑不当。

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