大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和29年(う)3136号 判決

被告人 磯宣誉 外一名

〔抄 録〕

先ず職権により原判決の適法かどうかにつき判断するに、原判決は「被告人磯宣誉ハ何等法定ノ除外事由無ク昭和二十九年七月四日頃肩書自宅ニ於テ政府以外ノ者ナル被告人高橋常次郎ニ対シ昭和二十八年度生産ニ係ル一俵当四斗入ノ粳玄米計十五俵ヲ代金九万円(一俵当六千円)ニテ売渡シ、被告人常次郎ハ何等法定ノ除外事由ナク昭和二十九年七月四日頃被告人宣誉ヨリ前記ノ如ク粳玄米ヲ買受ケタルモノナリ」との事実を認定し、被告人磯宣誉に対し食糧管理法第九条第三十一条第三十四条、同法施行令第五条の五同法施行規則第三十九条(罰金等臨時措置法並びに換刑処分執行猶予に関する条文は省略)を被告人高橋常次郎に対し食糧管理法第九条第三十一条第三十四条同法施行令第六条、(省略条文は前に同じ)を適用しているのであるが、右判示によつては被告人磯が食糧管理法施行令第五条の五所定の「米穀の生産者」であること同被告人が「その生産に係る」判示玄米を売り渡したことが判文上明示されたものと認め難く、従つてまた被告人高橋常次郎についても同被告人が同法施行令第六条所定の「米穀生産者」たる相被告人磯から「その生産した」判示玄米を買い受けた事実を判文上明示されたものと認め難いので、原判決はこの点において有罪判決に附すべき理由を附さなかつた違法があるものと云わなければならない。(原判示の如く単に「昭和二十八年度生産に係る」と云う判示のみでは被告人磯の生産に係る米穀であることを判示したものとは認め難く、また「法定の除外事由なく」との判示を以て前記各構成要件を包含せしめて判示した趣旨と解することもできない。)

よつて原判決は刑事訴訟法第三百七十八条第四号に該る違法があるものとして破棄を免れない。(中略)

被告人磯は肩書地において米穀等の生産を営むもの、被告人高橋は精米及材木商を営むものであるが、

第一、被告人磯は法定の除外事由なく、昭和二十九年七月四日頃肩書自宅において政府以外の者である相被告人高橋に対し昭和二十八年度自己生産に係る一俵当四斗入の粳玄米十五俵を代金合計九万円で売り渡し、

第二、被告人高橋は法定の除外事由なく、前記日時場所において米穀生産者である前記被告人磯からその生産に係る前記粳玄米十五俵を代金合計九万円で買い受けたものであつて、右事実は原判決挙示の各証拠によつてこれを認める。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!