大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)851号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判旨〕原審相被告人A、Bの各司法警察員並びに検察官に対する供述調書の記載によると、右両名は小学校の同級生仲間で予てから親しくつき合つていたところ、Aが約三万円の借金の返済に困惑した結果、同人の発意で本件以外に両名共謀の上、原判示稲荷山公園附近の地域で米兵相手に持兇器強盗を働くことを企て本件犯行前の二八・一一・二〇前後の晩Aは原判示日本刀と短刀を自宅より持ち出しBと落ち合い、同人に短刀を渡し、自らは日本刀を携え互いに身仕度を整え、原判示稲荷山公園に赴き米兵の通りかかるを待ち受けているうち急にAが腹痛を起した為同月三〇日の米兵の給料日に再挙を約してその晩の犯行を中止するに至つたが、その際Aは来るべき三〇日の犯行には被告人Cをも引張りこみ助勢させることをBに打ち明けたところ、Bより「Cではやれないだろう」と云われたに拘らずAはBと二人だけでは聊か不安を感じ、被告人Cを本件犯行に加担させるため極力説得するに至つた事情が窺われ、一方被告人Cの司法警察員並びに検察官に対する各供述調書の記載、原審第四回公判調書中証人D(被告人Cの実父)の供述記載及び当審における被告人Cの供述を綜合すると、被告人Cは性質温和で喧嘩などしたことなく、また金銭に困つていたわけでなくAとは同じS県下T町のJ基地の第一食堂に勤めていた関係上知り合つていたが、本件犯行前の二八・一〇頃同人から米兵相手の強盗を共行する勧誘されたが、被告人に全然その意思がなかつたので態よく拒絶したところ、その後被告人は、本件犯行当日勤務先でAからまたまた強盗の話をしかけられ「君はただ顔を出してくれさへすればいいんだ」と云われたが、それでも気がすすまなかつたのでその時は返事もせずにおいたが、予て被告人CがAの妻に洋服の仕立方を依賴しておいたその用事のため同日夕方帰宅の途中A方に立ち寄つた際同人から「今夜稲荷山公園でたたきをやるんだが、Bも来ることになつておる。君は顔だけ出しておいてくれればいいんだ」としつこく勧誘されたので被告人Cもことわりかね一緒に行くことを承諾したものの被告人としては飽くまで消極的態度に出て主犯と目されるAが米兵をしばりあげる縄を用意して行こうとしたのを阻止した程であり、また当夜本件犯行の現場において原判示の如くAが日本刀を、Bが短刀をそれぞれ原判示米兵に突きつけ相共に金員強取の実行行為に移つた際も被告人Cは恐怖心におそわれその場から離れていたい気持になつてなんらなすところなく寧ろ逃腰の態にあつた事実を看取するに難くないのである。以上の事実関係から考えて見ると、被告人C自身はA、Bの両名と真実本件強盗の犯行を共にする意思があつたものとは到底認め難く、たゞ執拗なるAの懇請に対し、気弱の被告人Cとしては遂にこれを断りかね犯行現場まで随行し、同人等に気勢を添えてもつて同人等の企図する強盗の犯行を容易ならしめる意図に出でたに過ぎないものと見るのが、事案の真相に適した観察であると、思料される。即ち被告人Cの本件所為は単にA、B等の強盗行為を容易ならしめたに過ぎないものというべく、従つて本件被告人Cの行為に対しては原審の如く強盗傷人強盗未遂の共同正犯をもつて律すべきものではなく、寧ろその各幇助罪をもつて論ずるを相当とする。

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