大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)962号 判決

被告人 豊田金蔵

〔抄 録〕

弁護人の控訴趣意第一点及び第二点について。

所論により本件記録を調査し並びに当審における事実の取調の結果を総合すれば、原判決が所論のように本件事故発生当時事故現場南方被告人の進行方向から見て路次入口の手前左側の県道上にリヤカーが置かれており、また、判示路次の入口附近右側に牛が繋がれていたことを判示せず、単に被告人が県道左側を進行せず前方注視及び減速を怠り漫然時速三十キロの速度で道路中央を進行したため本件事故を惹起したものと認定したことはいささか事実の認定が精密を欠く憾がないではないが、本件事故は後記認定のように結局当時被告人が速かに道路左側に進路を変えず且つ前方注視を怠り必要な減速をしないで漫然進行した業務上の注意義務懈怠により起つたものと認められるのであるから、原判決には所論のように判決に影響を及ぼすべき事実の誤認があるとは云えない。(時速三十粁で進行したと認めたこと、被害者を前方三米の地点で初めて認めたとしたことは所論のように証拠に基かざる認定ではない。)また原審が検証の際被告人に指示説明をさせることなく、検証調書に前示リヤカー並びに牛のことにつき何ら記載しなかつた粗漏な点があつたとしてもこれを以て直ちに右検証調書が独断的な虚偽の内容のもので証拠となしえないものとも云えない。故に右論旨は結局いずれも理由がない。

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