東京高等裁判所 昭和29年(ネ)1275号 判決
また控訴人等は前記金五十万円は不法原因のため給付せられたものであるから、控訴人足立においてこれを返還する義務なく、したがつてその支払のため振出された本件約束手形金を支払う義務がないと主張し、本件買付委任の目的物が落花生であつて当時施行の食糧管理法にもとづく統制物資であること明らかであるけれども、民法第七百八条は同条に規定する給付者をしてそのなした不正行為を主張してその給付したものの返還を請求することを法律上保護しないに止まりその受給者にその利益を保有せしめることを趣旨とするものでないから、受給者と給付者がそのなした契約を合意解除しその給付したものの返還を約することは有効であると解すべく、したがつて控訴人足立は前記買付委任契約解除の結果その受領した前渡金を被控訴人に返還する義務があり、この債務を保証した控訴人黒木もその責を免れ難い。
(渡辺葆 牧野 野本)