大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)2006号 判決

本件記録に徴すると、控訴人の当初の請求の趣旨、原因は控訴人は昭和十三年頃秋山平寿からその所有にかかる本件土地を期間を定めずに賃借したところ、被控訴人は控訴人に無断で本件土地に昭和二十二年一月頃家屋二棟を建築してこれに居住し控訴人の借地権を侵害しているので、被控訴人に対して右家屋を収去して本件土地の明渡を求めるというのであるが、変更後の請求の趣旨、原因は控訴人は、右借地権を被控訴人に譲渡したが、被控訴人はその譲渡代金の支払をしないことを理由に右譲渡契約が解除されたことを主張し、その原状回復義務に代り右借地権の価格金六百八十三万円のうち金百万円の支払を求め、もし、右借地権譲渡契約の解除が無効なときはその借地権の時価の支払を求めるというのであつて、その借地権譲渡代金は契約当時は具体的には決定していなかつたということを主張していることが認められる。

以上説示するところによつて考えると、控訴人が当初主張した請求の趣旨と後に主張した請求の趣旨とはこれに変更のあることは勿論である。弁論の全趣旨によると、当初主張した請求原因の基礎となるべき事実は被控訴人が本件土地についての控訴人の賃借権を侵害しているかどうかということであり、後の請求原因に関する基礎となるべき事実は控訴人と被控訴人との間に本件土地の賃借権譲渡契約及び被控訴人の右契約に関する不履行の有無であると認められる。従つて、後に主張した請求原因は当初主張した請求の基礎を変更したものと認めるのが相当である。

尤も二つの請求原因の判断についてはいずれも控訴人が本件土地について賃借権を有していたかどうかを判断しなければならないことにおいては共通するところがあるが、この事実は後の請求原因においては基礎となるべき事実の一部に過ぎないから、前記認定に支障を及ぼすところはない。

しかも後に主張した請求原因事実を審理するについては、控訴人主張の借地権譲渡契約の内容及びその履行の有無、本件土地の借地権の価格について新たに審理をしなければならないのであるから、これらの点について新たに証拠調を要するわけであつて、弁論の全趣旨から考えると、これらの審理によつて、訴訟は著しく遅延するものといわなければならない。

(浜田 仁井田 伊藤)

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