大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)2016号 判決

そうして原審証人原田勝正の証言及び原審における被控訴本人の尋問の結果を綜合すれば、右公正証書による消費貸借契約締結に当り、貸主たる控訴人から主債務者たる訴外橋本定吉に現実に交付した金員は六万円だけであることを認めることができる。原審並びに当審における控訴本人の供述中右認定に添わない部分は前掲各証拠に照して信用できない。その他に右認定を覆し授受された金員が九万円であることを認めるに足る証拠は存在しない。そして控訴人が当時、パチンコ屋(客の来集を目的とする場屋の取引)や漬物の販売を業としていたことは、被控訴人において明かに争はないから、これを自白したものとみなす。してみると、反証のない本件においては、右公正証書による消費貸借契約は商人たる控訴人の営業のためになされたものと推定するを相当とされるので、旧商法施行法第百十七条により当時の利息制限法第五条の規定は右消費貸借契約には適用せられないのであるが、日歩金一円の損害金の特約は経済界の一般実情から見て、特段の事情のない限り金五十錢を超える部分は暴利契約と認められ公序良俗に反する無効のものといわなければならない。してみると、右公正証書による消費貸借は現実に授受された元金六万円及びこれに対する貸付当日たる昭和二十四年六月十三日から弁済期たる同年八月三十一日まで約定利率年一割の割合による利息並びに同年九月一日から完済にいたるまで、日歩金五十銭の割合による損害金の限度においてのみ有効であつてその余は無効である。

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