大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ラ)144号 決定

よつて按ずるに、本件記録によれば、昭和二十九年二月十九日附の競売及競落期日公告(競売期日は同年三月十日午前十時)及び同年三月十九日附の競売及競落期日公告(競売期日は同年四月七日午前十時)には、いずれも競売の目的不動産の表示として、抗告人所有の所論(一)A及び(二)の建物並びに担保提供者たる油井操所有の(三)の建物の外、同年一月二十三日附の競売及競落期日公告には表示のなかつた右油井操所有の(四)の建物を掲げていること及び右(四)建物が昭和二十六年十月頃取りこわされた結果現在存在していないことはいずれも所論のとおりである。(中略)

(二)競売の目的不動産たる本件(四)の建物は現存しないのであるから、かかる事実が判明した場合においては、競売裁判所は該建物に対する競売手続をなすべきではなく、従つて競売期日の公告には該建物を競売の目的不動産として表示すべきではない。然しながら、記録によれば、本件においては抗告人所有の本件(一)、(二)の建物と油井操所有の本件(三)の建物とは各別に最低競売価額が定められて各競売期日の公告がなされ、各別に競売された結果、前者は宮田清人が、後者は龜山正男がそれぞれその最高価競買申出人となつたので、原裁判所は同年四月八日午前十時の競落期日において本件(一)、(二)の建物と(三)の建物につき各別に競落許可決定を言い渡したものであり、原裁判所が右の如く本件(一)、(二)の建物と(三)の建物とにつき各別に最低競売価額を定めて公告しているのはこれを各別に競売することを定めたものというべきであるから、抗告人所有の本件(一)及び(二)の建物の競売に関するかぎり、その競売期日の公告に現存しない本件(四)の建物の表示があることはその効力に何等の影響がないものというべく、又抗告人の指摘する本件各公告の記載によれば、原裁判所が本件(四)の建物と共にするのでなければ本件(三)の建物の競売をしない趣旨であるとは考えられないから、油井操所有の本件(三)の建物についての競落許可決定に関しては、抗告人は何等の利害関係がないものというべきのみならず、右公告においては本件(四)の建物は「昭和二十六年十月頃取り毀ちたるため不存在」と表示されていて、本件(三)の建物の競落によつては利害関係人に何等不測の損害を蒙らしめるところがないから、本件公告における前記(四)の建物の表示のあることは、本件(三)の建物についての競落許可決定に対する適法な抗告理由とならないものというべきである。

又抗告人は不存在の物件を競売の目的とする公告をなした以上、裁判所はそれについて何等かの判断を示す必要があるから、これを無視して競落許可決定をなすことは違法であると主張するが、本件競売期日の公告においては実在する本件(一)、(二)及び(三)の建物について各別に最低競売価額が定められ、且、本件(四)の建物は不存在の旨が明記されているから、右公告においては本件(一)、(二)及び(三)の建物のみが競売の目的不動産であつて、本件(四)の建物はその目的となつていないものというべく、従つて本件(一)ないし(三)の建物の競落許可決定をなすについては、右不存在の点に関し何等の判断を示す必要はない。所論は独自の見解に立脚するもので採用に値しない。

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