東京高等裁判所 昭和29年(ラ)576号 決定
本件異議において執行文付与の当否が争われている基本たる債務名義は、新宿簡易裁判所で成立した同庁昭和二十九年(イ)第四四号和解調書であつて、該和解調書正本に執行文を付与したのは同裁判所々属の書記官であるから、右執行文付与に対する異議事件は、同裁判所の管轄に専属すべきこと、民事訴訟法第五百二十二条第一項第五百六十三条の規定により明白である。従つて同法第五百二十二条第二項に基き右異議に関する裁判前に裁判長のなす仮の処分は異議についての管轄裁判所たる同裁判所の裁判官においてのみこれを命じうべきことも亦論を俟たないところである。然るに本件執行文付与に対する異議が、右専属管轄の規定に違背し、管轄権なき東京地方裁判所に対し申立てられた結果、同裁判所裁判官において相手方の申立により、仮の処分として本件強制執行停止命令を与えたのであるから、該命令はもとより違法にして取消を免れない。