東京高等裁判所 昭和30年(う)2792号 判決
被告人 岡村慎祐
〔抄 録〕
論旨は先ず原判示第二の事実中小切手一枚については被告人が盗んだ財布の中にこれが入つていたことを知らず、従つて領得の意思がなかつたのであるから窃盗罪は成立しないと主張する。しかし窃盗罪は他人の財物を窃取するという認識(犯意)を以て他人の財物を窃取することによつて成立する犯罪であるから苟くも金品在中の財布であることを認識しながら、他人の財布を窃取した以上は、その財布及び在中の金品全部について窃盗罪が成立するのは当然であつて、その財布の中に小切手が入つていたことに被告人が気付かなかつたとしても、それは被告人が不注意で気付かなかつただけのことで、在中の金品全部について領得の意思があつたものと認めるのが相当である。而して原判示第二の事実は優にこれを認めることができ、記録を精査するも原判決には所論のような事実誤認の過誤は存しない。
註 本件破棄は量刑不当。