大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)3026号 判決

被告人 洪雖来

〔抄 録〕

論旨第二点について。

なる程被告人が所持した麻薬の数量が約二十五瓦であつたという点については、被告人の自白以外にこれを補強すべき証拠がないことは所論の通りである。しかし自白を補強すべき証拠は、必ずしも自白にかかる犯罪事実の全部にわたりもれなくこれを裏付けるものであることを要せず、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足りるのであつて、被告人の自白によれば、押収の茶封筒は、被告人が陳栄錫から麻薬二十五瓦位を四万円で買受けた際これを入れてあつたもので、毎日煙草につけて吸つたり注射したりして三月一杯で使つてしまい、その残りがその封筒に少しついていたのであるというのであり、加藤友二作成の鑑定書によれば、右封筒の内面に白色粉末が僅かに附着していて、その中からジアセチルモルヒネ及び塩素(cl)の反応を検出したというのであるから、これらの証拠は被告人の自白に係る原判示事実の真実性を保障するに足り、被告人の自白の補強証拠とすることができるものと解すべきである。従つて所論のように約二十五瓦という数量の点については補強証拠がなくても何等違法ではない。論旨は理由がない。

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