大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)3156号 判決

被告人 朱明宗

〔抄 録〕

控訴趣意第二点について。

本件起訴状記載の訴因は、被告人が昭和三十年一月十六日横浜市中区山下町百二十六番地新光ホテル内金基信方において同人に対し塩酸ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)一袋約五瓦を代金一万二千円で譲渡したという事実(罰条、麻薬取締法第六十四条第一項第十二条第一項)であるところ、原審は検察官に対し右訴因を、被告人が同日同市同区同町百八十六番地の自宅において呉宝連に対し塩酸ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)一袋約五瓦を代金一万二千円で譲渡したとの事実に変更すべきことを命じ、後の訴因につき有罪の言渡をしたものであることは所論のとおりである。しかしながら、両者は譲渡の場所及び譲受人を異にするけれども被告人が塩酸ジアセチルモルヒネ約五瓦を譲渡したという基本的事実関係においては全く同一であつて後者は毫も前者すなわち起訴状記載の訴因と公訴事実の同一性を害しないと解すべく、しかも原判決挙示の証拠によれば原判示事実を認めるに十分であるから、右訴因変更を命じて原判示事実を認定した原審の措置は正当であつて何等所論の如き訴訟手続上法令違反の廉はない。その他記録を精査するも原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反あるを認め得ない。論旨は理由がない。

(三宅 河原 遠藤)

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