東京高等裁判所 昭和30年(う)3453号 判決
被告人 金律
〔抄 録〕
論旨第二点。
監禁を手段として人を恐喝して財物を交付せしめたときは、監禁と恐喝との両罪の牽連犯が成立するものと解するを相当とするところ、原審が、右両罪に該当する本件所為につき、想像的競合の一罪として刑法第五十四条第一項前段を適用したことは、明らかに法令の適用を誤まつたものというのほかはないが、想像的競合による一罪も、牽連犯としての一罪も、一罪として扱わるべき関係にある本件監禁及び恐喝未遂の行為に対する各罰条中法定刑としての最も重い刑を含む法規に従がつて処断すべき場合であつて、処断上いずれも同一の結果に帰するから、原判決が、その法令適用において右の如き誤を冒したとは言いながら、究極において最も重い恐喝の未遂の罪の刑に従がつて所断したものであることが窺がい得られ、牽連一罪として処断した場合とその結果を異にすべきものがないから、その誤をもつて敢て判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤を冒したものというを得ない。論旨は究極において理由がない。
(三宅 河原 遠藤)