東京高等裁判所 昭和30年(け)2号 決定
そこで申立人が貧困で、訴訟費用を完納することができないか否かにつき按ずるのに、右詐欺被告事件の記録によれば、申立人は第一審においては弁護人を選任しなかつた為国選弁護人が選任されたのであるが、第二審においては弁護人を自から選任しているのであつて、弁護人を依頼する程の資力があれば、本件訴訟費用の総額は金三、七八〇円であるから、これを完納することができないものとは直ちには認められない訳であるが、申立人の生計資産調査の結果によれば、第二審の弁護人は形式上は申立人の選任となつているが、その実質は申立人の友人の好意によりその負担において選任されたものであることが窺知できるのみならず、申立人は何等の資産をも有せず貧困で妻子の扶養すら不能の状態であることが認められるのである。しからば申立人は貧困の為右訴訟費用を完納することのできないものと認められるので、訴訟費用の負担の裁判の執行を免除するのを相当と認める。