東京高等裁判所 昭和30年(て)89号 決定
本件申立の要旨は、(第一点)前記判決において「原判決列挙の証拠に散見する被告人(申立人のこと)が相当虚言癖の強い性格の所有者である点を総合考察するときは……」と述べ申立人の申立人が本件犯罪現場に本件犯行日時不存在であつたとの弁疏を立証すべき証拠を措信しない理由を掲げているけれども、右原判決列挙の証拠中には申立人に犯行当時虚言癖の存在する点を証明する何ものもないと思われるが、この点の解釈を賜り度く、(第二点)原判決には「量刑不当に関する判断を省略する……」と掲げてあるが、弁護人も被告人たる申立人も量刑不当の主張はしていないと思うから、この点つまびらかに解釈を下され度く、(第三点)申立人の司法警察員及び検察官に対する自白調書の任意性につき、申立人はこれが任意性なしと主張しているが、原判決にはその判断が示されていないから、この点判断解釈を願い度く、(第四点)原審証人吉田甫の供述は極めて虚偽性の強いものであり申立人において極力その主張をしたに拘らず、この点審かにされていない故、その判断解釈を賜り度く、(第五点)裁判官は右証人吉田甫の供述が真実と正義の上に立つていまなお正しいものと信じているかどうか御回答を願い度く、以上裁判の解釈を求める申立に及んだ次第であるというにある。
よつて按ずるに、刑事訴訟法第五百一条に規定する裁判の解釈について疑があるときとは、判決主文の趣旨が明瞭でなくその解釈について疑問がある場合でなければならないこと既に最高裁判所の判例(昭和二十五年十二月二十二日第二小法廷同年(す)第二〇一号事件決定、昭和三十年一月十八日第三小法廷昭和二十九年(す)第五三一号事件決定参照)の示すとおりであるから、右に摘録したような本件申立理由のごときは、右の場合に当らないこと洵に明白である。よつてその内容につき審査するまでもなく、本件申立は失当であつて却下を免れない。