大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ナ)16号 判決

原告 矢野間乂

被告 阿部克己

〔抄 録〕

おもうに、公職選挙法が選挙人をして当選無効の訴訟を提起することができることにしたのは、その者の属する選挙区における選挙の公正を期そうとするためにほかならないから、選挙人は自己の属しない他の選挙区における当選人に対し当選無効の訴訟を提起することはできないものと解すべきである。すなわち選挙は各選挙区毎に分れて施行され、選挙人は自己の属する選挙区の選挙にのみ参加し得るのであるから、当選の効力を争い得るのも自己の属する選挙区の選挙に限られ、自ら参加し得ない選挙についてはこれに容啄する権利を有しないのである。また、選挙候補者はその立候補した選挙区以外の他の選挙区における当選人に対し当選無効の訴訟を提起することができないと解すべきことも前記と同様である。

ところで、本件についてみるに、昭和三十年三月二十日沼田市議会議員の選挙が施行され、被告が右選挙に於て市議会議員に当選した事実、原告が右選挙の選挙権者であり選挙候補者であつた事実は当事者間に争がなく、かつ右選挙当時沼田市がその条例により第一ないし第五選挙区に区劃されていたこと、原告が第一選挙区の選挙権者であり、かつ選挙候補者であつたこと、被告が第三選挙区から立候補して当選したものであることは当事者間に争いがない。従つて原告が被告に対し当選無効の訴を提起することの許されないことは、前段説示により明かであるといわねばならない。

原告は、沼田市の選挙区の区分は合併直後の暫定措置として定められたものであり、小市である沼田市と大都市とを同一に取扱うべきでないと主張するが、選挙区の定められた経過の如何、都市の大小により、選挙区を法律上異別に取扱うべき根拠はないから、この点の原告の主張は採用しない。

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