大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ネ)1616号 判決

(証拠)を綜合すれば、被控訴会社はその所有の、(一)浚渫船第一宝津丸の船体及び機関、(二)浚渫船用鋼管三十一本及びスチールフローター三十組の青森県八戸港より東京港までの片道航海につき之を海上保険に附することとなり、控訴会社の担当員たる和田定一を介し控訴会社と折衝して保険金額、保険料及びその支払方法等を定めた上、昭和二十七年九月十三日に控訴人主張通りの契約内容を記載した申込書(前記甲第一号証の一、二)を控訴会社に提出して同保険契約の申込をし、控訴会社に於て即時之に対する承諾の意思表示をしたことを認めることができ、以上認定の資料に照らし原審における証人薄木千代根(第一、二回)穂積義孝、林烱光、当審における証人薄木千代根及び被控訴人の代表者穂積堅一の各供述中以上の認定に反する部分は信用し難く、他に右認定を動かすに足る資料は存しない。然らば右申込と承諾の各意思表示の合致により控訴人主張の船舶及び貨物の各海上保険契約が成立するに至つたものであつて、被控訴人は控訴会社が右保険につき被控訴人から保険料の支払がない限り保険契約は成立しない旨言明したところ、未だ右保険料の支払がされてないから契約は成立していない、尚控訴会社は無保険で青森県八戸港から東京港までの前記第一宝津丸の曳航を遂げた訴外川口運輸株式会社に対し右曳航契約外の報償金を支払つた旨抗争しているけれども、海上保険契約が原則として諾成契約であつて当事者双方の意思表示の合致のみにより成立すべきものであることは商法第八百十五条第二項により海上保険に準用される同法第六百二十九条の規定上明かであるところ、本件にあらわれたすべての資料によつても保険料の支払を以て本件保険契約成立の要件とする合意がされたことを認めるに足りない。

(内田 原増 高井)

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