大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ネ)2465号 判決

控訴人らは、控訴人林が原判決事実らん(3)記載の木村鎮及び金沢寅治と同記載の保険料を受領すべき金額の各保険契約をしたことは、これを認めるけれども、控訴人林が右訴外人両名から前記金額の保険料を受領したことはないから被控訴人の請求に応ずる義務はないと主張し、本件におけるすべての証拠によつても、右金員受領の事実を認めることはできない。したがつて、右受領を前提とする被控訴人の主張は理由がない。

しかし、原審証人小林直の証言、同証言により成立を認める甲第六ないし八号証の各一、成立に争ない同号証の各二、甲第一〇号証の一ないし四をあわせると、損害保険業界には、保険代理店が保険契約申込者と保険契約を締結し、保険契約証書に所定の要件および保険料領収書番号を記入するとともにこれを保険料領収報告書とともに本人たる保険会社に送付して右契約証書につきその認証をえた以上は、たとえ代理店において、現実には保険契約者から保険料を領収していない場合であつても、代理店は本人たる保険会社にたいし、右保険料相当金額を支払うべき慣習があること、そして控訴人林は訴外木村、及び金沢とその各保険契約については、現実に保険料を受領しなかつたけれども、甲第六ないし八号証の各一の保険契約証書に保険料領収書番号を記入し、また同号証の各二の保険料領収報告書を作成してこれを被控訴人会社に送付し、右保険契約証書につき認証を得たことを認めることができる。

特別の事情のない本件においては被控訴人会社も控訴人林もともに前記慣習による意思があつたものと認めるのを相当とするから、同控訴人は右慣習により被控訴人会社にたいし右保険料と同額の金円支払の責を負うものであり、これに反する控訴人らの主張は理由がない。

(藤江 原宸 浅沼)

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