大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ラ)169号 決定

本件抗告理由の要旨は、(一)、抗告人は昭和二十七年十一月十九日(抗告状に二十日とあるは誤記と認める。)申立外佐野学外三名に対する東京地方裁判所昭和二十七年(ヨ)第六二四三号不動産仮処分命令申請事件の仮処分決定に基いて、東京地方裁判所執行吏平山宗一郎に委任し佐野学占有の別紙目録記載の物件につき仮処分の執行をなし、同人の占有を解きこれを執行吏の保管に移しその現況を変更せざることを条件として同人にその使用を許可した。(二)、抗告人は昭和二十九年七月二十日東京地方裁判所執行吏関信雄に委任して右仮処分の点検をなしたるに、佐野学は昭和二十八年三月死亡し執行吏占有保管に係る別紙目録記載の建物部分は第三者である佐野博がこれを無断使用していることが判明した。これ明らかに前記現状不変更を条件として佐野学に限つて使用を許した仮処分命令に違反することは一見明瞭である。(三)、然るに日本政治経済研究所は佐野学は同研究所の代表者として本件建物を占有していたものであり、従つて同研究所の占有は佐野学の占有とは別個の占有であるとして仮処分命令の執行方法に関する異議の申立及び執行停止の申立をなしたのであるが、何等理由なきものである。(四)、すなわち前記執行吏平山宗一郎の仮処分調書によれば、「別紙目録記載の物件は債務者佐野学の占有に係り同人において日本政治経済研究所の経営に使用し居り」、「以上の外目的物件の占拠者なきこと立会人等のその旨の陳述と屋内点検の結果を綜合してその事実を認めたり」とあることによつて明らかであり、日本政治経済研究所は昭和二十七年十一月十九日(抗告状に二十日とあるは誤記と認める。)以来今日まで四カ年に亘る間同研究所の占有が佐野学の占有とは別個の占有であると主張をなしたことはなく、また東京地方裁判所昭和二十七年(ワ)第九一七六号建物明渡等請求事件においてもかかる主張のないことに徴しても明らかである。よつて「原決定を取消す。日本政治経済研究所の本件仮処分執行停止の申立を却下する。」旨の決定を求めるというにある。

しかし、抗告の理由とするところは、すべて本件執行停止命令事件の本案たる仮処分命令の執行方法に関する異議の申立について、その異議の理由がないことを主張する事由であるから、民事訴訟法第五四四条第一項後段、第五二二条第二項の規定に基いて執行裁判所たる原裁判所が発した執行停止命令に対する不服の理由となすことを得ない。

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