東京高等裁判所 昭和30年(ラ)777号 決定
よつて按ずるに強制執行の場合においてその執行手続の開始した後に債務者が死亡したときは債権者はその遺産に対して手続を続行することができることは民事訴訟法第五百五十二条の規定により明らかであるが、この場合債務者の相続人は当然債務者の地位を承継するものというべく、従つて、債権者は爾後右相続人を債務者として手続を続行すべきものである。しかして同条の規定は競売法による競売手続にも準用されるものと解するを相当とする。本件についてこれをみるに、記録に編綴された債務者細田龜雄の戸籍謄本の記載によれば、同人は昭和三十年八月二十二日(本件競売手続開始後)死亡したこと及び抗告人らがその相続人たる地位にあることが明らかであるから、債権者は爾後抗告人らを債務者としてその手続を続行すべきものであり、従つて競売法第二十七条第二項の規定による競売期日の通知は抗告人らに対してなすべきであるのに拘わらず、記録を査閲するに、本件競買申出の行なわれた昭和三十年十二月十五日午前十時の競売期日の通知は(死者である細田龜雄に対してなされたが)債務者である抗告人らに対してなされた形跡が認められない。そうすると右期日は債務者に対する通知を欠くものであつて、右期日においては競売手続を続行すべからざるものである。しかるに、原審が右競買申出に基ずき競落許可決定を言い渡したのは違法であるといわざるを得ない。
(岡咲 龜山 脇屋)