大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和31年(う)1817号 判決

被告人 栗田長三

〔抄 録〕

弁護人の控訴趣意第一点について。

(一) 刑法第二百四十六条第一項、第二項は同一罪質である詐欺罪に関する規定であり且つ両者ともその法定刑は同一であるからこれが適用をなすに当りそのいずれを適用するも、またはこれを区別せずして概括的にこれを適用するも法律の適用を誤つたものとはいえないことは夙に大審院判例の示すところであり原判示の如く当初より代金支払の意思がないのに拘らず恰もこれあるかの如く装い宿泊を申し込み因つて原判示紀の本旅館こと宇田由次郎をしてその旨誤信せしめ原判示期間宿泊させ且つその間飲食物等を提供させた場合にはすべて一括して刑法第二百四十六条を適用するのを相当とする (二) けれども原判決の如く刑法第二百四十六条第二項前段を適用したからとて刑事訴訟法第三百八十条にいうところの法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすこと明らかな場合に該当しないこと勿論であるから論旨は到底採用できない。

(中村光 脇田 鈴木)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!