東京高等裁判所 昭和31年(う)3019号 判決
被告人 柴田貞蔵
〔抄 録〕
しかり而して、原判示のごとく、原判示状況の下において、被告人の運転する自動二輪車の前方約三〇米の地点において矢沢邦子(昭和二三年九月一四日生)等三名の子供の中一人が進路を横断したのを認めた以上、残りの子供等も同じような態勢に出るかも知れないという予想は、当然すべきであるから、もし、そのような態勢に出た場合に自己の運転する車を、これに衝突することのないように、予め万全の措置を講ずべき運転者としての業務上の義務があるといわなくてはならない。しかるに、被告人は単に警笛を一、二回吹鳴し、速力を約二五キロに減じただけで進行をつづけ、右子供等の手前約七米の地点に接近した際に、右矢沢邦子が先に横断した子供の後を追つて、被告人の進路に飛び出したのを認めたが、被告人は漫然なお進行をつづけたため、その運転する車の右側把手辺を同人に衝突させてしまつたのである。してみれば、被告人の右所為たるや、まさに、業務上必要な注意を怠つた結果に外ならない。
(中野 尾後貫 堀真)